背景
脳卒中後のリハビリテーションでは、上肢の訓練を十分な量、継続して行えるかが 回復の度合いに関わってきます。一方で、単調な反復動作を続けることは患者にとって負担が大きく、 モチベーションの維持が課題になります。
この研究では、訓練機器そのもののソフトウェアと、患者が向き合う体験の両面から改善に取り組みました。
システム改修と評価
- 訓練機器のシステム改修:訓練効果を高めるための制御・記録面の改修を担当
- 機械的評価を可能にする:機器の動作を計測・評価できるソフトウェアを開発し、感覚に頼らず機器の状態を数値で確認できるようにした
- 訓練データの記録:訓練の実施状況を記録し、後から振り返れる形で残せるようにした
医療に関わる機器であるため、「動けばよい」では済まず、 動作が説明できる状態にすることが求められる点が、それまでの個人開発と大きく違う経験でした。
訓練支援ゲームの開発
訓練そのものを変えられない部分については、体験の側から継続を支えるアプローチを取りました。 訓練動作をゲームの操作として扱い、進捗が目に見える形でフィードバックされる訓練支援ゲームを制作しています。
ここで意識したのは「楽しいゲームを作る」ことではなく、 訓練として必要な動作を損なわずに、続けたいと思える形にするという制約付きの設計でした。 ゲーム性を足しすぎると訓練動作が雑になり、抑えすぎると単調さが残る、というトレードオフの調整が中心の作業でした。
現在の研究とのつながり
この研究で扱ったのは「人の動きを計測し、評価し、動機づける」という一連の流れです。 対象は違いますが、人の動きを数値として扱い、その質を評価するという点は 現在のモーション生成研究と地続きになっています。
また「使う人がいるソフトウェアを作る」経験は、 研究成果をアプリケーションの形にする際の判断基準として今も効いています。