背景
研究テーマがモーションのスタイル制御であるため、先行手法を自分の環境で実際に動かして 比較できる状態を持っておくことが必要でした。ただ公開されている研究コードは Linux + 特定の CUDA バージョンを前提に書かれていることが多く、手元の Windows GPU 環境ではそのままでは動きません。
研究のたびに環境を借りるのではなく、自分の手元で回せるようにしておくほうが試行回数を 増やせると考え、移植作業に取り組みました。
やったこと
- 依存関係の再構成:公式指定のライブラリ構成が Windows で解決できないため、PyTorch 2.6 + CUDA 12.4 の組み合わせを起点に依存を組み直した
- コードのパッチ:Linux 固有のパス処理・プロセス起動・ファイル権限周りを Windows で動く形に修正
- データ前処理:スタイル付きモーションキャプチャデータを学習用の形式へ変換し、関節定義とフレームレートを揃えた
- GPU 学習の検証:実際に学習を回して損失が下がることを確認し、環境として使える状態であることを確かめた
つまづきどころ
エラーの原因を切り分ける順番
移植作業では「ライブラリのバージョン不整合」「Linux 依存のコード」「データ形式の不一致」が 同時にエラーとして現れます。そのためまず環境が正しいことを最小のスクリプトで確認し、 次にコード、最後にデータの順で切り分けるようにしました。 この順番を守らないと、直したつもりの箇所が別の原因に隠れて判断できなくなります。
前処理を信用できる状態にする
学習が進まないときにモデル側を疑う前に、データが意図どおり変換されているかを可視化して確認しました。 モーションデータは数値が壊れていても学習は一見進むため、 目で見て確認できる状態を作ることが結果的に近道でした。
研究での位置づけ
この環境をベースラインとして、自分の研究ではスタイルを 1 つの軸として扱う既存手法を、 キャラクター性と感情の 2 軸に分けて扱う方向へ拡張しています。 先行手法を実際に動かせることで、「何がすでに出来ていて、どこが自分の貢献になるか」を 実験結果として示せるようになりました。